「信じて良いの?」
すっと、彼女はベッドに腰掛けた。安物のベッドが、きしきしと音を立てる。こんな
場面は何度も経験していたが、それでも鼓動が早くなった。
――らしくない。
心からの言葉を、思わず口にしたり。
クリスのことで、感情的になったり。
「ええ、信じてください」
そっと肩に触れ、顔を近づけるが……。
彼女の手が俺の背中に回されることはなかった。代わりに、その白い腕は、胸元のペ
ンダントをまさぐっている。
「それは?」
「え?」
「その、ペンダント」
彼女の胸には、錆で赤黒くなったペンダントがかけられている。今までずっと、革の
紐につるされ、胸の前で揺れていた。今はそれに、大事そうに触れている。
「これは……」
言いながら、彼女が目の前に差し出す。色からはわからなかったが、何かの羽根をか
たどったもののようだった。
「これは、私が唯一生まれたときから持っていた物なの。元は綺麗な銀色だったんだけ
ど、ずっと触っている内に、こんなに汚れちゃった」
自然と、彼女の口調がくだけてきているのに気づく。
「……でも、外せないの。これは、私が高く飛ぶための、羽根だから」
そう言って、彼女はその翼を強く握りしめた。
「薄汚れた翼は、でも、君に似合っていて美しい」
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